あの駄菓子、今も買える? — 駄菓子の百科事典

もう買えない、あの駄菓子|消えた名作クロニクル

チェルシー、ぬ〜ぼ〜、チューペット、サクマ式ドロップス…。販売を終えた駄菓子たちを惜しみ振り返る、消えた名作クロニクル。あの味と記憶をたどります。

駄菓子屋の棚は、いつの時代も少しずつ入れ替わってきました。新しい味が並ぶ一方で、長く愛された定番が、ある日ふと姿を消す。気づいたときには、もうどこを探しても見つからない――そんな経験をした人は少なくないはずです。

このページでは、すでに販売を終えてしまった駄菓子たちを、ジャンルごとに振り返ります。いずれも今では手に入りませんが、だからこそ語っておきたい名作ばかり。記憶のなかの味を、もう一度たどってみましょう。

消えたアイス・冷たいおやつ

夏の駄菓子といえば、まず思い浮かぶのが冷たいおやつでした。両端をパチンと折って二人で分け合ったチューペットは、子ども時代の夏休みそのもの。プールあがりや縁側で、半分こにして食べた人も多いのではないでしょうか。あの「分け合える」かたちが、なんとも特別でした。

アイスでは、シャリッとした氷の食感が楽しかったサクレ ピンクミックス、ロッテのぎゅぎゅっとも、いつしか棚から見かけなくなりました。冷たいおやつは季節商品でもあり、入れ替わりが早いジャンル。だからこそ、定番だと思っていた味の不在に、あとから気づくことが多かったように思います。

消えたチョコ・ビスケット

チョコレート菓子のなかでも、ひときわ独特な存在だったのが森永のぬ〜ぼ〜です。ふんわりしたエアインチョコと、とぼけた表情のキャラクター。お菓子そのものだけでなく、グッズやアニメまで含めて記憶している人もいるでしょう。あのやわらかい食感は、ほかにあまり似たものがありませんでした。

細長い形状が手づかみにちょうどよかったフィンガーチョコレート、明治のポルテ、ビスケットでは軽い口どけが心地よかったブルボンのラングドシャも、長く親しまれた品でした。森永の森永チョコフレークに至っては、惜しまれながら姿を消したことが当時ちょっとした話題にもなりました。手が止まらず、つい食べ過ぎてしまう――そんな魅力が、最後まで愛された理由だったのかもしれません。

消えたガム・タブレット

駄菓子屋のレジ横に、いつも何かしら並んでいたのがガムでした。ロッテのイブフラボノクイッククエンチ-Cガム、果実感が楽しかったマスカットガム梅ガム。明治のキシリッシュ(ガム)、グリコのキスミントも、それぞれに根強いファンがいました。

変わり種では、長く伸ばして遊べたバブルテープが思い出深い人もいるでしょう。タブレットでは湖池屋のピンキーが、小さな粒の清涼感で愛されました。ガムやタブレットは流行の移り変わりが激しく、いつの間にか棚から消えていることの多いジャンル。当たり前に買えたはずの一粒が、今では懐かしい記憶になっています。

消えたスナック・珍味

10円玉を握りしめて選んだ、しょっぱい系の駄菓子たちも忘れられません。ボリュームが楽しかったおやつカンパニーのドデカイラーメン、ブルボンのエビスナック、ハウス食品のリトルボール。明治のピックアップや森永のスピンも、おやつの定番として食卓やおやつ箱に並びました。

珍味系では、よっちゃん食品工業のらあめんババアけんこうカムカムするめ足、菓道のお好み焼さん太郎といった、いわゆる「太郎」系を思わせる小袋菓子も人気者でした。一袋数十円という手軽さで、何枚も買い込んだ思い出を持つ人は多いはずです。

消えたジュース・粉もの

飲みものや粉末系にも、忘れがたい名作がありました。水に溶かすだけで色とりどりのジュースになった渡辺のジュースの素は、昭和の家庭の夏を彩った一品。コップの中で広がる色を眺めるのも楽しみのひとつでした。御用聞きスタイルでも知られたプラッシー、独特の風味が記憶に残るファンタ ゴールデングレープも、長く愛されたのちに姿を消しました。

粉ものといえば、駄菓子屋の名脇役だった梅ジャムも忘れてはいけません。せんべいに塗って食べる、あのすっぱ甘い味。作り手の高齢化などが語られながら、いつしか製造を終えたと伝えられています。長く一つの味を守り続けることの難しさを、静かに教えてくれる存在でした。

世代を超えた長寿の名作たち

なかには、何十年と棚に立ち続けた長寿の駄菓子もありました。明治のチェルシーは、バターの香るスカッチとヨーグルトの上品な甘さで、世代を超えて愛されたキャンディ。その終売は、多くの人に大きな喪失感を残しました。同じく明治のカルミンも、長い歴史を持つロングセラーとして親しまれた一品です。

そして、戦前から続いたとされるサクマ式ドロップス。缶を振ってカラカラと鳴らし、出てきた色で一喜一憂した思い出は、世代を問わず共有されているのではないでしょうか。グリコの栄養菓子グリコグリコアーモンドチョコレート、独特の食感が楽しかった明治のひもQなども、世代の記憶に深く刻まれた名作でした。

キャラクター菓子という時代

子どもたちを夢中にさせたのは、味だけではありませんでした。おまけや仕掛けが楽しかったキャラクター菓子も、一時代を築いた存在です。組み立てて遊べたカバヤ食品のビッグワンガム、カードを集めた神羅万象チョコ、人気作品とつながった妖怪メダル零ラムネ。お菓子そのもの以上に、付属するおまけに胸を躍らせた人も多かったはずです。

はじけるラムネ菓子のドンパッチわたパチ、形を選べる楽しさがあったロッテのかわりんぼのような「体験する駄菓子」も、こうした時代の空気を映していました。流行と結びついた商品ほど移り変わりは早く、ブームとともに静かに役目を終えていったものも少なくありません。

消えてしまっても、味は記憶のなかに

ここで挙げた駄菓子は、もうどの店の棚にもありません。けれど、半分こにした冷たさ、缶を振った音、コップに広がった色、すっぱ甘い味――そうした感覚は、今も多くの人の記憶のなかに残っています。ロッテのスペアミントガム糸引き飴、ブルボンのうす焼せんべい、あられのコメッコのように、ふとした拍子に思い出される味は、まだまだあるでしょう。

駄菓子が一つ消えるたびに、その時代の風景も少しずつ遠ざかっていきます。だからこそ、こうして名前を書き留め、思い出を語り継ぐことには意味があるのだと思います。あなたの「もう一度食べたい、あの駄菓子」は、どれでしょうか。

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